実用書を企画する際に重要なのは、読者がその本を読むことで何を得られるのか、どのような変化を遂げるのかを明確にすることです。
これは単に情報を伝えるだけでなく、読者の人生や考え方に影響を与え、「この本を読んで本当に良かった」と思わせることが必要になります。
つまり、読者が求めるものと、著者が伝えたいことが一致してはじめて、本は売れるのです。
では、読者が思わず手に取りたくなる本のテーマとはどのようなものでしょうか?
それを考えるためには、まず読者が本を手に取る動機を深く理解する必要があります。
本を買う理由の多くは、「現状を改善したい」「新しい知識を得たい」「自分を変えたい」というような想いが少なからずあるはずです。
なので、その読者のニーズを明確に捉え、読者に具体的な解決策を提示することが成功のカギとなります。
読者のニーズを体系的に考えると、5つの切り口が見えてきます。
それは「お金」「労力」「時間」「悩み」「体験」です。
そして、これらをさらに「前向き」と「後ろ向き」の2つのスタンスに分けることで、10種類のアプローチを導き出すことができます。
例えば、「お金」に関するテーマであれば、「儲かる」「節約する」という2つのスタンスが考えられます。
読者が「お金を増やしたい」と考えているならば、「副業で月10万円を稼ぐ方法」「資産運用で老後資金を増やす」といった前向きなテーマが刺さるでしょう。
一方、「節約」志向の読者には、「固定費を月3万円削減する方法」「食費を抑えても満足感のある生活を送る」といった後ろ向きのスタンスの方が興味を引きます。
また、「労力」の観点では、「最小限の努力で成果を出す」「効率的にタスクをこなす」といった切り口が考えられます。
「時間」についても同様に、「短時間で成果を出す」「ゆとりを持って生活する」という2つの軸があります。
「悩み」については、「安心を得る」「不安を解消する」という形でアプローチが考えられます。
「体験」に関しては、「成功談」と「失敗談」のどちらが読者に刺さるのかを見極めることが重要です。
「成功談」であれば「初心者からベストセラー作家になるまでの道のり」「ゼロから独立して月収100万円を達成した方法」といったテーマが考えられます。
一方で、「失敗談」を活かしたものならば、「起業に失敗しないために知っておくべき5つの教訓」「ダイエットに何度も挫折した私が最終的に成功した理由」などが読者の共感を得やすくなります。
このように、読者の求めるものを正確に把握し、それに合ったテーマを設定することで、本の魅力は格段に高まります。
テーマが決まったら、さらに具体性を持たせるために、数字を入れたり、読者がイメージしやすい表現を工夫することが大切です。
例えば、「節約のコツ」よりも「1年間で50万円貯める節約術」とした方が、読者にとってのメリットが明確になります。
本は単に情報を詰め込むだけではなく、読者に「この本を読めば、自分の悩みが解決する」「この本を読めば、理想の未来が手に入る」と確信させることがポイントです。
そのためには、ターゲットの心に響く切り口を選び、より具体的で分かりやすい形で企画にまとめることが求められます。
そして、それこそが、売れる本を生み出すための必須条件となるのです。