出版企画書のタイトルを考えるとき、「ほかの企画に埋もれたくない」「自分にしかない強みを伝えたい」と悩むことはありませんか。
そうすると、時間をかけて育てた考え方や方法に、オリジナルの名前をつけたくなる人が意外と多いです。
商業出版を目指すなら、ほかの本との違いを示したいと思うのも自然なことです。
実際、出版相談でも「自分のメソッドには○○という名前があるので、出版企画書のタイトルに入れたい」と相談されます。
せっかく生み出した名前ですから、そうしたくなるのも当然です。
ただ、ここは少しだけ注意が必要です。
出版企画書の書名案に造語を入れることは、私は基本的におすすめしません。
出版企画書は、自分の思いを表現するためだけのものではありません。
出版企画書は、出版社に「この企画を本にする価値がある」と判断してもらい、編集者と話す機会をつくるための提案書です。
出版には費用も人手もかかります。
その判断をお願いする以上、まずは相手に伝わることが大切です。
編集者のもとには、たくさんの企画書が届きます。
タイトルに知らない造語があると、どんな読者の、どんな悩みを解決する本なのか、ひと目で分からなくなります。
ひと目で分からないと、編集者はその先を読もうとは思いません。
わざわざ調べることも、聞き返すこともないでしょう。
万一、最後まで丁寧に読んでもらえたとしても、そういう造語を入れ込む著者に対して、「自己満足」「傲慢」と見られる可能性もあります。
それって、もったいなくないですか?
ちなみに、独自の集客方法に「○○メソッド」と名づけている場合、その名前だけでは内容が伝わりません。
でも、「紹介が自然に増える小さな店の集客法」と表現すれば、誰に何を伝える本なのかを想像しやすくなります。
これは言葉の例であって、元のメソッドの価値を小さくする話ではありません。
では、造語は使わないほうがいいのでしょうか。
そんなことはありません。
完成した本のタイトルでは、読者が書店やAmazonで足を止めるきっかけとして、造語が効果を発揮する場合もあります。
企画が通ったあと、編集者や出版社と一緒に、売れる可能性を考えて決めていけばよいのです。
つまり、出版企画書のタイトルは編集者に興味を持ってもらうための入口で、本のタイトルは読者に買ってもらうための入口です。
本文で独自の言葉を使うなら、はじめて出すときに意味を説明し、必要なところだけに使えば大丈夫です。
今の書名案に造語が入っていても、焦る必要はありません。
まずはその言葉を外し、「誰に、何を届ける本なのか」を一文で書いてみてください。
次に、あなたの方法を知らない人に見せて、内容が伝わるか確認してみましょう。
大きな変更ではなく、気軽に試せる一歩です。
独自性は、難しい名前をつけなくても伝えられます。
むしろ、伝わる言葉に変えることで、企画の面白さを見つけてもらえる可能性が広がります。
大切にしてきたアイデアは、そのままで大丈夫です。
まずは編集者と話せる入口を整えるところから、一緒に出版への道を進んでいきましょう。





