出版コンサルタントが、あなたを最短距離で著者に導きます!

カテゴリ:書籍の企画書の書き方

2025年6月3日

テーマ:書籍の企画書の書き方

本名を出さずにペンネームで出版する手順

本を出したいと考える人から、非常に多く寄せられる相談のひとつに「ペンネームで出版することは可能か?」というものがあります。

特に会社勤めをしている人からの問い合わせが多く、「本を出したいが、本名を出すことで職場に知られてしまうのではないか」と不安を感じているようです。

副業規定のある企業に勤めていたり、プライベートと仕事をきっちり分けたいと考えていたりする人にとっては、できることならペンネームで出版したいという希望は、よく分かります。

実際、ペンネームを使って本を出版すること自体は可能です。

出版社も、商業的に問題がなければペンネームでの出版を許容しているケースが多く、名前を隠すことが絶対に不可能というわけではありません。

 

 

ただし、ここで考えておくべき大事なポイントがあります。

 

それは、出版企画を立てるうえで、あなた自身に「何が求められているのか」という視点です。

具体的には、あなたがその本の著者としてふさわしい人物であることを、「資格」や「実績」という形で示せるかどうかが問われます。

資格とは、その分野に関する専門的な知識やスキルの裏付けです。

たとえば、心理学の本を書くならば、公認心理師や臨床心理士の資格を持っていることは大きな説得材料になります。

一方で、実績とは、その分野で実際に経験や成果を積んできたことです。

たとえば、「元商社マンが語る交渉術」のような本では、その著者が本当に商社に勤めていたのか、どんな経験をしてきたのかが、読者にとって信頼できる材料となります。

 

このとき、重要になるのが「資格」と「実績」の違いです。

 

資格はあくまでもスキルの証明であり、出版社の編集者を納得させることができれば、ペンネームでの出版も現実的です。

しかし、実績を軸にした企画となると、事情は変わってきます。

実績は、読者にとって「この人だからこそ書ける」と納得させるための証拠です。

したがって、「誰が書いているのか」が非常に重要になります。

つまり、本名を出さないことによって実績の信憑性が揺らいでしまう可能性があるのです。

極端な例ですが、「元○○が語る〜」というテーマで本を出したいとき、読者や出版社は「その人が本当に元○○なのか?」という事実確認を必要とします。

このような場合、ペンネームでの出版では、企画そのものが成り立たない可能性が高くなります。

 

ペンネームを使うというのは、ある意味では新しい人格を作ることに等しい行為です。

つまり、その名前で著者プロフィールを構築していかなければなりません。

ペンネームでの活動歴や信用を積み重ねていない場合、説得力に欠ける著者として見られてしまい、企画自体が採用されにくくなるのです。

特に会社員の人が出したいと考える企画の多くは、「その会社での経験」や「現在の職業ならではの知見」に基づく内容であることが多いため、本人の経歴や所属が企画の根幹になっているケースが目立ちます。

こうした企画の場合、ペンネームでの出版は、出版社にとっても読者にとっても説得力を持たせるのが難しくなるということです。

 

とはいえ、すべての出版企画が本名でなければ成立しないというわけではありません。

テーマによっては、資格に基づいた知識提供型の内容であれば、ペンネームでも十分に企画が通ることもあります。

また、匿名性を保ちたい場合には、出版社と相談のうえ、実名は非公開にしても一定の実績を証明する方法が取れる場合もあります。

出版の形態や契約内容、書店での扱い方にもよるので、まずは希望する内容を出版社や編集者に正直に相談してみましょう。

この記事を共有する
このエントリーをはてなブックマークに追加
「この記事は役立った!」という場合には
応援クリックしていただけると嬉しいです!
応援クリックは右のボタン ブログランキング

2025年5月11日

テーマ:書籍の企画書の書き方

編集会議で出版企画が通っても本が出ない理由

出版企画が編集会議で採用されると、多くの人は「これで出版は確実だ」と安心してしまいがちです。

しかし、実は編集会議を通過したからといって、必ず本が出版されるとは限りません。

 

 

まず、編集会議というのは、出版社の社内で「この企画を本として出す価値があるかどうか」を審議する非常に重要なステップです。

ここで承認されたいうことは、社内的にその企画が出版に値すると判断されたという意味になります。

しかし、これはあくまでも「現時点での企画書に基づいて」という条件付きの承認にすぎません。

つまり、実際に書き上がってくる原稿が、企画書で提示された内容とかけ離れていたり、文章力や内容のレベル的に商品として成り立たないと判断されると、たとえ編集会議を通過していたとしても、出版そのものが見送られてしまいます。

 

特に多いのが、原稿が完成した時点で「当初の企画内容から大きくズレてしまっている」というケースです。

編集会議では、提出された出版企画書の内容をもとに、その企画の市場性や読者ニーズ、売上の見込みなどを総合的に判断します。

そのため、企画書に書かれた目次案や構成案は、いわば契約書のようなものです。

ところが、いざ原稿を書き始めると「やっぱりこの構成では書きにくい」「もっと違う方向で書きたい」と感じてしまう著者も少なくありません。

その気持ちは理解できますが、企画書と大きく異なる内容になってしまうと、編集会議での承認した理由そのものが崩れてしまい、出版が見送られるリスクが高まるのです。

 

また、原稿の文章力そのものが大きな壁となる場合もあります。

編集者はある程度、著者の原稿に手を加えて読みやすく整えることは覚悟しておりますが、それにも限界があります。

もし、原稿全体が日本語として破綻していたり、何を伝えたいのか分からなかったり、読み物として成立していないレベルであれば、編集部としても出版を断念せざるを得ません。

とくに、編集会議の時点では、著者の文章力までは十分に把握しきれないため、原稿が上がってきて初めて問題が発覚することも少なくないのです。

 

こうしたリスクを回避するためには、企画書を作成する段階から、できるだけ具体的に目次や内容を詰めておくことが大切です。

「これなら最後まで書き切れる」と自信を持てる内容にすること。

そして、原稿執筆中も、企画書から大きく逸脱しないように意識し続けることが求められます。

もし、どうしても書き進められなくなった場合は、できるだけ早い段階で編集担当者に相談し、方向修正を図ることが重要です。

さらに、自分の文章力に不安がある人は、早めにライターや編集者の力を借りるようにしてください。

企画書とのズレや文章力不足を早期に是正して、出版中止のリスクをできるだけ未然に回避しましょう。

 

実際、出版社の編集者によると、編集会議を通過したにもかかわらず、本が出せなくなるケースは決して珍しくないと言います。

だからこそ、企画が通ったからといって安心するのではなく、そこからが本当のスタートだと考えて、最後まで気を抜かずに取り組みましょう。

あなたの大切な企画を確実に形にするためにも、今回お伝えしたポイントをぜひ意識して取り組んでくださいね。

この記事を共有する
このエントリーをはてなブックマークに追加
「この記事は役立った!」という場合には
応援クリックしていただけると嬉しいです!
応援クリックは右のボタン ブログランキング

2025年3月14日

テーマ:書籍の企画書の書き方

無名でも大丈夫!出版を引き寄せる肩書きの作り方

はじめて本の出版を目指す人にとって、出版企画書の中でもとくに「著者プロフィール」は、出版社の編集者に対して、自分の信頼性や専門性を伝えるために重要な要素となります。

特に無名の著者にとっては、どれだけ魅力的な企画内容であったとしても、著者自身に説得力がなければ、企画が通りにくくなるという現実があります。

出版企画書における「著者プロフィール」に書かれる「肩書き」や「実績」は、出版という門を開く上では、かなり重要な役割を果たすのです。

 

 

では、具体的にどのような肩書きが効果的なのでしょうか。

 

たとえば、「○○研究家」「●●コンサルタント」といった表現は、たとえ正式な資格や肩書きがなくても、自分の経験や活動内容を的確に言い表し、一定の専門性を感じさせることができます。

これは自己申告による肩書きであっても構いません。

重要なのは、編集者にとって「この人はこの分野について語るに値する存在だ」と思わせるだけの妥当性や納得感があるかどうかなので。

 

また、「元・○○会社の広報担当」「元・公立中学校教員」といった過去の職歴を活かした肩書きも有効です。

人は「過去にどのようなポジションにいたか」から、その人の見識や知見を判断することができますので、「元〜」という表現は、キャリアを自然な形でアピールするのに適しているといえるでしょう。

もちろん、資格を持っている人はであれば、「税理士」「弁護士」「臨床心理士」といった国家資格や専門資格を明記するのは非常に説得力が高く、出版の後押しになります。

 

それでも「特別な肩書きも資格もない」と感じている人も多いかもしれません。

しかし、今の時代はSNSやブログ、YouTubeなどを通じて情報発信をしている人も多く、そうした活動歴も立派な実績になります。

たとえば「フォロワー数1万人の○○系インフルエンサー」「月間3万PVのブログ運営者」といった表現も、出版の企画においては有効です。

読者に届く力があることを示すことで、企画全体の信頼性が高まるのです。

 

著者プロフィールを書く際に忘れてはならないのは、あくまで「読者や編集者の視点」に立って、自分をどう見せるべきかを考えることです。

肩書きは自分をよく見せようとし過ぎるあまり、誇張表現や過剰な自称に走ってしまうと、逆に信頼を失う可能性があります。

「○○界の第一人者」「業界を変えた革命家」などの表現は、第三者の評価がない限り避けるのが無難です。

あくまで事実に基づき、控えめながらも誠実に自分の専門性や経験を伝えることが、結果的に一番効果的なブランディングになります。

 

出版は、自分という存在を価値づけし、読者や編集者に「この人はこの分野について語るに値する存在だ」と思わせるだけの妥当性や納得感をもたせる必要があります。

出版企画書における著者プロフィールでは、肩書きがあるかないか、それをどう伝えるかによって、出版の可否すら左右されることもあるのです。

無名であることに引け目を感じる必要はありません。

大切なのは、どれだけ自分の経験や思いを言語化し、相手に伝わる形にできるか。

自分の中にある価値を丁寧に見つめ直し、それを言葉にして届けることが、出版成功への第一歩です。

この記事を共有する
このエントリーをはてなブックマークに追加
「この記事は役立った!」という場合には
応援クリックしていただけると嬉しいです!
応援クリックは右のボタン ブログランキング