出版企画書がひと通り完成したら、すぐに出版社へ提出したくなる気持ちはとてもよく分かりますが、ひとまずグッとこらえてください。
出版企画書の完成直後というのは、書き手自身が内容に深く入り込みすぎており、冷静な目で客観的に判断することが難しい状態にあることが少なくありません。
そのため、いったん時間を置き、心と頭をリセットした上で、もう一度丁寧に企画書を見直すことを強くおすすめいたします。
最低でも一日、可能であれば数日空けて、できるだけ第三者の視点で読み直してみましょう。
この見直しの過程では、単なる誤字脱字の確認だけでなく、企画そのものの妥当性や、読者への価値提供の観点から内容を再検討することが重要です。
まず第一に意識したいのは「その内容は自分にとって本当に書けることか」ということ。
想いや理想だけで書いていないか、実際にその内容を読者にとって有益になるような形で書き切ることが可能かどうかなどを冷静に判断してください。
次に確認したいのは、「自分自身の実体験や実績に基づいた内容かどうか」です。
出版企画においては説得力が何よりも重要な要素となります。
理論だけで構成されたものでは、読者にも出版社にも響きませんから。
実際に経験したからこそ語れるエピソードや気づきを含められるかどうかを見直しましょう。
さらに、その企画が「自分だからこそ書くべき内容かどうか」も大切なポイントです。
仮に同じテーマでも、あなた自身の視点や経験、問題意識が反映されていなければ、他の誰が書いても同じような内容になってしまいます。
その意味で、企画の中に「あなたにしか書けない」部分がきちんと含まれているかも自問してみてください。
そして、読者や周囲の反応も想像してみましょう。
もしこの本が世に出たら、応援してくれる人がいるか、読んだ人があなたに興味や好感を持つような内容になっているか、そして、読者にとって役立つ情報や共感できるエピソードがしっかり盛り込まれているかを考えることも重要です。
また、出版のタイミングについても見直すべき視点があります。
「今この内容を出版する必然性があるのか?」という問いを投げかけてみてください。
焦って出版しようとしていないか、自分自身の人生やキャリアにとって本当に今がそのタイミングかどうか、立ち止まって考えてみる価値があります。
ひとまず、これらのポイントで見直してみてください。
その場合、形式的にチェックリストをなぞるとかではなく、「本当にそうだろうか?」と、自分に対して深く問い詰めてみましょう。
そして、もし違和感があったら、「なぜそう感じるのか」「何が違うのか」を掘り下げることで、企画の方向性がさらに洗練されていきます。
見直しを終えた後には、再度、自分の企画書に問い直してみましょう。
「何か付け加えるべき情報はないか?」「不要な部分はないか?」「もっと明確に表現できるところはないか?」という視点で読み返すことで、より完成度の高い企画書に仕上げることができます。
そして最後に、自分自身に対して最も重要な質問をしてください。
「この本は本当に売れるのか?」「売るための戦略や自信があるのか?」と。
ここで自信を持って「はい」と答えられるようであれば、あなたの出版企画書は、読者にも出版社にもきっと届く力を備えているはずです。
このように、出版企画書を完成させた後の見直しは、単なる文章のチェックにとどまらず、自分自身と企画の本質を深く見つめ直す貴重なプロセスです。
じっくりと時間をかけて、誠実に取り組んでいただければ、あなたの企画は確かな説得力を持つものへと磨かれていくことでしょう。