出版を目指すのであれば、採用される出版企画書を作らなくてはなりません。
しかし、その出版企画書ですが、教える人によってその書き方が大きく異なります。
- 企画の全てを盛り込み、サンプル原稿まで添えたぶ厚い企画書を推奨する人
- パッと見で興味を持たせ、読む側の負担にならないようにペラの企画書を推奨する人
- とにかくプロフィールを作り込み、著者の販売力をアピールさせる企画書を推奨する人
企画書での必須項目も含めさまざまです。
全ては実績に基づく経験からその書き方を推奨しているので、仕方がありません。
つまり、出版企画書に正解は無いのです。
ここからは、完全な私見を書きます。
出版企画書は、単に企画を説明するだけではありません。
とくにインターネットが普及し、出版企画書を売り込みやすい環境になった昨今では、企画書を通じて著者の社会性もチェックされていることは忘れてはいけません。
また、出版企画書をどう位置づけるかをイメージすることも重要です。
私の場合、出版企画書は企画に興味を持ってもらい、話す場を確保するためのツールだと思っています。
なので、企画の全てを書き込まず、「答えを知りたい」「詳しく聞きたい」と思わすところで留めます。
なぜなら、企画の魅力を文字だけで伝えるのは困難だからです。
身振り、手振り、声のトーンやテンションなども含めて説明した方が、出版社の編集者には伝わります。
また、読んで分かってしまう出版企画書だと、会っても何も話すことがありません。
出版企画書を音読するは、お互いに時間の無駄ですし、そういうのを出版社の編集者は嫌う傾向にあります。
だからこそ、口で説明する余地を残す必要があると思うのです。
あとは、厚さを見ただけで読む気が失せることもありますので、それを回避する狙いもあります。
いずれにしても、出版企画書の体裁は、営業する人の売り込みの手法や営業スタイルに合わせる方が上手くいくことは間違いありません。
これは、出版企画書を書く著者の売り込みの手法や営業スタイルではなく、実際に出版社へ売り込みに行く人の売り込みの手法や営業スタイルに合わせなくては意味が無いので、注意しましょう。
弊社にも、他の人に教えてもった出版企画書の書き方で書いた企画書を、出版が決まらなかったので、弊社で売り込んで欲しいという相談がよくあります。
しかし、弊社にしてみれば、こういう企画書は扱いづらいことこの上ないのです。
もちろん、道義的な問題もありますし…。
最後に、直接出版社に売り込む場合に私が最適だと思われる企画書を書いておきます。
郵送で送付場合、著者が東京へなかなか上京できないエリアに住んでいる場合は、ぶ厚い企画書が良いでしょう。
ただし、この企画書で出版を決められるだけの内容にしなければ、連絡はいただけないと思ってください。
敷居は高くなりますが、連絡が来た時は、かなりの確度で出版されるはずです。
メールで送信する場合、著者が東京近郊に住んでいる場合は、ペラの企画書が良いでしょう。
やはり、会って説明した方が企画は通りやすいです。
そのためにも、いかに「答えを知りたい」「詳しく聞きたい」と思わせ、いかに気軽に連絡してもらえるようにするかがポイントになります。
ただし、会う場合は沈黙は印象があまりよくありませんので、人見知りするのであれば、ぶ厚い企画書にした方が良いかもしれません。