出版企画が編集会議で採用されると、多くの人は「これで出版は確実だ」と安心してしまいがちです。

しかし、実は編集会議を通過したからといって、必ず本が出版されるとは限りません。

 

 

まず、編集会議というのは、出版社の社内で「この企画を本として出す価値があるかどうか」を審議する非常に重要なステップです。

ここで承認されたいうことは、社内的にその企画が出版に値すると判断されたという意味になります。

しかし、これはあくまでも「現時点での企画書に基づいて」という条件付きの承認にすぎません。

つまり、実際に書き上がってくる原稿が、企画書で提示された内容とかけ離れていたり、文章力や内容のレベル的に商品として成り立たないと判断されると、たとえ編集会議を通過していたとしても、出版そのものが見送られてしまいます。

 

特に多いのが、原稿が完成した時点で「当初の企画内容から大きくズレてしまっている」というケースです。

編集会議では、提出された出版企画書の内容をもとに、その企画の市場性や読者ニーズ、売上の見込みなどを総合的に判断します。

そのため、企画書に書かれた目次案や構成案は、いわば契約書のようなものです。

ところが、いざ原稿を書き始めると「やっぱりこの構成では書きにくい」「もっと違う方向で書きたい」と感じてしまう著者も少なくありません。

その気持ちは理解できますが、企画書と大きく異なる内容になってしまうと、編集会議での承認した理由そのものが崩れてしまい、出版が見送られるリスクが高まるのです。

 

また、原稿の文章力そのものが大きな壁となる場合もあります。

編集者はある程度、著者の原稿に手を加えて読みやすく整えることは覚悟しておりますが、それにも限界があります。

もし、原稿全体が日本語として破綻していたり、何を伝えたいのか分からなかったり、読み物として成立していないレベルであれば、編集部としても出版を断念せざるを得ません。

とくに、編集会議の時点では、著者の文章力までは十分に把握しきれないため、原稿が上がってきて初めて問題が発覚することも少なくないのです。

 

こうしたリスクを回避するためには、企画書を作成する段階から、できるだけ具体的に目次や内容を詰めておくことが大切です。

「これなら最後まで書き切れる」と自信を持てる内容にすること。

そして、原稿執筆中も、企画書から大きく逸脱しないように意識し続けることが求められます。

もし、どうしても書き進められなくなった場合は、できるだけ早い段階で編集担当者に相談し、方向修正を図ることが重要です。

さらに、自分の文章力に不安がある人は、早めにライターや編集者の力を借りるようにしてください。

企画書とのズレや文章力不足を早期に是正して、出版中止のリスクをできるだけ未然に回避しましょう。

 

実際、出版社の編集者によると、編集会議を通過したにもかかわらず、本が出せなくなるケースは決して珍しくないと言います。

だからこそ、企画が通ったからといって安心するのではなく、そこからが本当のスタートだと考えて、最後まで気を抜かずに取り組みましょう。

あなたの大切な企画を確実に形にするためにも、今回お伝えしたポイントをぜひ意識して取り組んでくださいね。