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カテゴリ:執筆時の注意点

2025年9月17日

テーマ:執筆時の注意点

書き始める前に押さえるべき原稿の設計図のコツ

原稿を執筆していると、気づかないうちに冗長になったり、全体のバランスが偏ってしまったり、同じ話を何度も繰り返してしまったり、話しが逸れてしまったり……そういうことがよくあります。

特にはじめての執筆では、思いつくままに書き進めてしまい、収拾がつかなくなったり、読者に伝えたい大切なメッセージが埋もれてしまうことも少なくありません。

その結果、大幅な加筆修正が必要になり、せっかくの労力が無駄になったと感じる方も多いのではないでしょうか。

 

 

そんな悩みを回避するのに役立つのが「台割り」です。

本の書き方において台割りを意識することは、単にページの割り振りを管理するためだけではなく、全体を見据えた原稿の設計図を作る行為そのものにあたります。

 

もともと台割りは印刷の現場で使われてきた用語で、どのページにどの内容を載せるのかを一覧にした表を指します。

その台割りは、実は出版を目指す著者にとっても非常に有効なツールなのです。

原稿を執筆する前に台割りを作成することで、本全体の流れを俯瞰し、構成を明確にすることができます。

 

実際に台割りを作るときには、まず「本全体をどのような章立てにするか」を考え、その章ごとに必要なページ数を割り振ります。

さらに、章を細かく分けて節を設定し、それぞれの節にどんな内容を書くのかを整理していきます。

こうした手順を踏むと、書き始める前の段階で、自分がどこに何を書くべきかが明確になります。

これは言い換えると、頭の中にある漠然としたアイデアを可視化して、読者に伝わりやすい流れへと変換する作業です。

 

もちろん台割りは万能ではありません。

途中で新しいアイデアが浮かび、構成を変更することもあるでしょう。

しかし、その場合でも、台割りをベースにしていれば全体のバランスを崩さずに修正できます。

つまり、一度道を踏み外しても、再び本筋に戻るための地図の役割を果たしてくれるのです。

 

原稿執筆は創造的な行為であると同時に、計画性が求められる作業でもあります。

自由に書くこと自体は楽しいものですが、出版という形で多くの人に届けたいと考えるなら、読みやすく整理された構成に仕上げることが欠かせません。

そのために台割りを理解し、実践してみましょう。

台割りを作成する習慣を身につけることで、執筆の効率は大きく高まり、無駄な修正作業も減らせます。

結果として、自分自身の満足度だけでなく、読者や編集者にとっても読みやすく価値ある一冊に仕上がるはずです。

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2025年9月15日

テーマ:執筆時の注意点

共著で出版する前に知るべき注意点

本を出版する場合、一人で全てを執筆する以外に「共著」という方法を選ぶことがあります。

共著とは、二人以上で協力して一冊の本を作り上げる方法であり、出版業界では決して珍しいものではありません。

しかし、この共著という方法には、多くのメリットと同時に、見落としがちな注意点やデメリットも存在します。

出版を検討している方が共著を選ぶ場合は、これらを正しく理解しておくことが非常に重要です。

 

 

まず、共著には企画の段階での大きな利点があります。

たとえば、相手が自分より知名度の高い著者であれば、その名前を企画書に併記することで出版社の関心を引きやすくなり、企画が通りやすくなる傾向があります。

逆に、自分より無名な人と組む場合は、その人を引き上げる立場になり、将来的な人間関係や恩の売り方という観点でプラスになる場合もあります。

ただし、共著では執筆部分の担当が明確に記されないことが多いため、本来は自分のノウハウなのに読者からは共著者の知識だと誤解されることもあります。

この点は共著ならではの注意点といえるでしょう。

 

次に、執筆期間中のメリットとデメリットです。

共著の場合、それぞれの著者が原稿を分担して執筆するため、一人で書くよりも作業時間が短縮できるのは大きな魅力かもしれません。

しかし、複数人で書くからこそ、文章の文体や論調の統一には注意が必要です。

初期段階でしっかりと執筆方針を擦り合わせておかないと、「相手が書いてくれるだろう」とお互いに思い込み、結果として重要な章が抜け落ちたり、内容に重複やズレが生じたりするリスクがあります。

また、共著者の進捗が見えにくいため、信頼関係が試される場面も多く、相手との連携不足がトラブルの原因になることもあるでしょう。

 

さらに、印税や原稿料に関する取り決めも重要な注意点です。

共著では、基本的に印税は著者間で分配されるため、一人で出版する場合に比べて受け取る金額は減少します。

書いた分量に応じて分ける方法が一般的ですが、後からトラブルにならないように契約段階で明確にしておくことが不可欠です。

また、原稿の提出期限を守る責任感や販促活動への意欲など、メンタル面でも共著には特有の難しさがあります。

相手に遠慮して強く言えなかったり、逆に相手に依存してしまったりといったケースは意外と多いものです。

 

出版後のメリットとデメリットにも目を向けてみましょう。

知名度の高い共著者と組んだ場合には、その名前が販促に効果を発揮して売上が伸びるケースがありますが、逆に共著によって読者から「どちらが主導しているのかわからない」と見られ、売上が伸び悩むケースもあります。

さらに、販促活動では「相手がやってくれるだろう」という意識が働きやすく、結果として双方とも十分な宣伝を行わずに終わってしまうことも珍しくありません。

 

ただし、共著には売上以外にも大きなメリットがあります。

たとえば、自分一人では出版が難しい専門分野の内容を共著によって実現できる場合、その分野でのブランディングを高める事が可能です。

冊数を増やして実績を積みたい人にとっても、共著は効率的な方法になり得ます。

しかし、その一方で、自分のオリジナルノウハウが共著者に吸収され、ブランディング上で主導権を奪われてしまうリスクもあるため、慎重な対応が必要です。

 

最後に、出版後の増刷や改訂に関しても共著ならではの注意点があります。

共著本を増刷する際には、共著者全員の許可が必要となるため、一人でも拒否すれば増刷ができなくなるのです。

その場合は、相手が執筆した部分をすべて書き直して改訂版として出す必要が生じることもあります。

こうしたリスクを避けるためにも、出版前の契約や信頼関係の構築が欠かせません。

 

このように、出版における共著には多くのメリットがある一方で、注意点やデメリットも少なくありません。

著作権や印税などの権利関係、信頼関係の維持、執筆や販促の分担、ブランディング戦略といった複数の観点から、事前に十分な検討と準備を行うことが、共著を成功させるための鍵となります。

出版は一度始まれば途中で簡単に方向転換できるものではなく、共著者とは最初から最後まで運命共同体となる覚悟が必要です。

慎重に判断し、互いの強みを活かす形で進めていくことが重要です。

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2025年7月15日

テーマ:執筆時の注意点

出版目指す人のための文章力向上の必読本

文章を書く力、すなわち「文章力」は、一朝一夕に身につくものではありません。

そして、そもそも文章に「正解」があるわけではないという事実を、まずはしっかり理解しておく必要があります。

文章は、書き手の思いや考えを、いかにして他者に伝えるかという営みそのものであり、唯一無二の答えがあるようなものではありません。

それでもなお、多くの人が「文章力を上達させたい」と感じるのは、やはり「伝わる文章」が書けるようになりたいからではないでしょうか。

 

世の中には、文章の書き方に関する本やブログ、講座などが数多く存在します。

論理構成や表現技法、リズムや語彙選びに関する知見を提供してくれるものも多く、それぞれが一定の有益性は持っているでしょう。

しかし、そういった技術的な要素に目を向けすぎると、かえって「自分らしい文章」が書けなくなってしまうこともあります。

テクニックに頼りすぎると、どこか借り物のような、表面的な文章になってしまいがちです。

 

 

文章力の向上を本当に目指すなら、まず取り組むべきは「文章の基本」を正しく理解することです。

この基本というのは、難しい技法や装飾的な言い回しではなく、「論理的に、明確に、そして誠実に伝える」ための土台と思ってください。

そして、その基本を学ぶために、私自身が強くおすすめしたい本があります。

 

その書籍は、本多勝一氏の『日本語の作文技術』および『実戦・日本語の作文技術』です。

 

日本語の作文技術 (朝日文庫)/本多 勝一
¥567
Amazon.co.jp

 

実戦・日本語の作文技術 (朝日文庫)/本多 勝一
¥588
Amazon.co.jp

 

私がこの本と出会ったのは、今から20年以上前、出版業界に足を踏み入れたばかりの頃でした。

先輩から「これだけは読んでおけ」と手渡されたこの一冊は、まさに「文章とは何か」「どう書くべきか」を深く教えてくれる名著でした。

実際、かつては多くの出版社で、新入社員がまずこの本を読むことが通例となっていたほど、業界では高い評価を受けています。

 

この本が他のハウツー本と大きく異なるのは、表面的なテクニックではなく、書き手としてどう考えるべきか、どう言葉を選び、どう文を構成するかといった「日本語を書く姿勢」そのものを学ばせてくれる点にあります。

文章力を本質的に鍛えるとは、こうした視点を持ち、自分の言葉で正確に思考を形にすることに他なりません。

 

もちろん、技術的なトレーニングも一定の効果はあります。

ですが、文章力とは、最終的には「自分の伝えたいことを、自分の言葉で、相手に伝わるように届ける」ことに尽きます。

そのためには、まず基本をきちんと身につけることが不可欠であり、そこに自分の感性や経験が自然に加わることで、個性ある文章が生まれてくるのです。

 

ですので、文章を上達させたいと思っている人や、おすすめの文章技術本を探している人には、まずはこの2冊を手に取っていただきたいと思います。

派手なテクニックは載っていませんが、確実にあなたの文章力の土台を支えてくれるでしょう。

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