よく、「あの本が、あの内容で売れているのが信じられない」「もっと早く企画書を書いていれば、あの本より売れる自信があった」などと言われる方がいらっしゃいます。
これが負け惜しみであるのなら構わないのですが、心底そう思ってらっしゃる方が多いです。
文章というのは不思議なもので、同じことを説明しても書いた人によって伝わり方が違います。
伝わり方というより、入ってくる感じと言ったほうが分かりやすいかもしれません。
そして、そういう力を持った文章には“言霊”が宿っているように思います。
本当はそういうスピリチュアルなことは好きではないのですが、売れている本というのはそういう力を感じるんです。
世の中に同じような本はたくさんありますし、同じことを違う人が説明することもよくあることです。
しかし、売れる本があり、売れない本があります。
当然、出版社が編集して発刊されているのですから、どの本も本気で売るつもりで作られているはずです。
それなのに、売れる本があり、売れない本があるんです。
これは、もう、著者の文章からにじみ出る人柄や人間性、思い、説得力などを含めた“言霊”としか言いようがありません。
どうやったら、“言霊”が宿る文章が書けるようになるのかは分かりませんが、私が思うのは、著者が原稿にどれだけ真剣に、そして、真摯に対峙したかで“言霊”が宿るかどうかが決まるということです。
やっつけで書いた原稿、自己満足な原稿には“言霊”は宿りません。
なので、「あの本が、あの内容で売れているのが信じられない」「もっと早く企画書を書いていれば、あの本より売れる自信があった」などと言うのは簡単ですが、本当にそんな原稿を自分自身が書けるかどうかを冷静に考えてみてください。
本当に人柄や人間性、思い、説得力などがにじみ出ますよ。