書籍の企画が採用されるかどうかは、編集会議での出版企画書がカギを握ります。
編集会議では通常、具体的な数字やデータに基づいて企画の採用可否が検討されるため、説得力のあるデータが企画書に添えられていると、採用の可能性がぐっと高まるのです。
その際、特に「市場規模を示す数字」が提示されていると有効とされます。
市場規模を示す数字とは、たとえば関連ユーザーの数や登録者数のことなどを指します。
その数が高ければ高いほど、書籍としての市場性が評価されやすくなります。
また、この数字が信頼性の高い客観的資料に基づいていることも重要です。
数字の一つの目安として、ある市場での総ユーザー数のうち1%が本を購入すると仮定できる場合、ユーザー数の1%が5,000人を超えていれば、比較的スムーズに企画が進行する可能性があるとされています。
例えば、iPhoneが発売された直後に関連書籍を企画する場合、もしその販売台数が100万台であれば、そのうち10,000人の読者を想定できるため、「iPhoneの使い方に関する本」の企画は通りやすいという判断ができます。
また、類書の売れ行きも市場規模を測る上で参考になります。
特に類書が1冊のみでかつ売れ行きが好調であれば、同じテーマの企画は採用されやすい傾向にあります。
しかし、類書が3冊以上ある場合は市場が飽和していると判断され、新しい切り口や独自性が必要となります。
こうした市場規模や関連データは、BCNランキングなどのニュースサイトやAmazonランキングなどで確認することができ、また、本屋で平積みされている本の奥付からも増刷の有無を確認することが可能です。
このように市場規模を示す信頼できるデータを企画書に添付することは、書籍の販売見込みを立てやすくし、企画がより迅速に通るための効果的な手段なのです。
逆に、「需要があるはず」「たくさんいるだろう」など根拠の曖昧な予測では企画の説得力が弱まり、具体的な需要がわからないため、編集部からは魅力的に映りません。
もちろん、数字の裏付けがないからといって必ずしも企画が不採用になるわけではなく、企画自体が面白ければ、その内容が評価されて採用に至る場合もあります。
ただし、データがない分だけ意思決定には時間がかかることが多いということです。