本を出版する際には、ただ自分の思いや知識をまとめるだけではなく、その本をきちんと「売れる本」にする必要があります。
なぜなら、出版というのは著者一人の活動ではなく、出版社や書店といった多くの関係者を巻き込んだビジネスだからです。
出版社は著者の企画書を読み、その内容や市場性を判断したうえで出版の可否を決めています。
そのため、出版企画の段階で「この本は本当に売れるのか」という根拠を明確に持っていないと、そもそも企画が通りません。
ここで重要になるのが、すでに出ている競合本をリサーチし、それらより売れる根拠を企画に盛り込むことです。

そもそも、本が売れるというのは、読者が実際に書店やオンライン書店で数多くある書籍の中から、あなたの本を選び、購入してくれるということを意味します。
本屋さんの棚には同じジャンルの本がずらりと並び、それぞれが読者に選ばれることを競っています。
つまり、あなたの企画はそのライバルの中で際立つ必要があるのです。
そのため、自分の本が棚の中で選ばれる理由を明確にし、それを企画書にしっかりと記載することが重要です。
ここで役に立つのが、既に世に出ている本の徹底的なリサーチです。
たとえば、自分が出したいジャンルの棚を時間をかけて観察し、売れ筋の本にはどのような共通点があるのかを考えてみるとよいでしょう。
タイトルの付け方、カバーデザイン、帯に書かれているメッセージ、目次の構成、読者層の明確さなど、売れる本には必ず何らかの「選ばれる理由」が存在しています。
こうしたリサーチを繰り返すことで、自分の企画に足りない要素や強化すべき点が徐々に見えてきます。
また、競合調査を行う際には、ただ他の本を眺めるだけでは不十分です。
実際に購入した読者のレビューや口コミも読み込もましょう。
レビューには、読者がどこに価値を感じ、逆にどこに不満を持ったかが率直に書かれています。
そこから「次に出版する本では何を提供すれば選ばれるのか」という具体的なヒントを得ることができます。
競合リサーチを丹念に行い、既存の成功事例から学ぶことで、自分なりの「売れる根拠」を持つことができるでしょう。
その根拠を企画書にきちんと記載されていれば、出版社の担当者はその熱意と確信を読み取り、企画を前向きに検討してくれる可能性が高まります。
なぜなら、売れる根拠を具体的に持っている企画は、それだけで出版後の販売戦略が立てやすく、実現性が高いと判断されるからです。
このように、出版企画で成功するためには、思いつきや情熱だけではなく、市場を正しく理解し、競合を徹底的に研究し、自分の企画がその中でどう際立ち、なぜ売れるのかを論理的に説明できる状態にしていきましょう。
こうしたプロセスを経ることで、あなた自身も企画に自信を持てるようになり、その自信は企画書の文面にも自然と表れます。
企画書を読む出版社側も、その説得力を感じ取り、「この企画なら一緒に成功できる」と思えるようになるのです。

