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2021年7月25日

テーマ:執筆時の注意点

出版業界におけるスケジュール管理について

長年、出版業界に身をおいていると、業界外の人との意識にズレを感じます。

それは、スケジュールに対する意識です。

 

 

私が出版業界に入って、一番最初に叩き込まれたことは、「親の死に目に会えなくても締め切りを守れ!」ということでした。

これは、今でも出版業界では慣習化しております。

 

ちなみに、その理由は、本一冊作るのに多くの職種の人たちによる、幾重にも及ぶ工程を経るため、その過程において一人でもスケジュールを守れない人がいると、その後の工程に関わる多くの人たちに迷惑をかけることになるから。

 

そのため、出版のスケジュールは、各職種の人たちとのスケジュールを調整した上で、かなり緻密に組み上げていきます。

 

本を出版する著者は、そこ工程の一番上流にいるため、著者の原稿が遅れると、その先の全ての工程に影響が出てしまい、多くの人たちに迷惑をかけることになるのです。

 

例えば、著者が半日原稿を遅れたとします。

半日であれば、工程上、容易に吸収できるレベルではありますが、朝から原稿待っていた次の工程の人からすると、何もできずに半日を過ごしてしまうのです。

そして、その半日の遅れを取り戻すために、その人は徹夜をしてその遅れを吸収することになります。

 

著者の身勝手な遅れで、いきなり定時帰宅の予定が徹夜になってしまうのです。

自分の身に置き換えて考えてみれば、それがどれほど精神衛生上、よくないことかは分かりますよね?

 

しかも、それだけではありません。

徹夜で作業を行うということは、その人の残業代や深夜残業代など、本来、発生しない目に見えないコストも発生します。

当然、そのコストは誰も負担してもらえないので、各自の持ち出しになるのです。

半日でも影響を大きいのですから、1日以上の遅れは、さらに問題を深刻化します。

場合によっては、発刊中止になることもあるでしょう。

 

スケジュールの管理は社会人の基本ですが、「少しぐらい」とか、「半日なら」と、軽く考えがちな傾向を感じてしまいます。

しかし、出版におけるスケジュールは、“絶対”です。

あなたが遅れたら、その遅れを他の人が取り返すために苦労しなければなりません。

 

だからこそ、出版を目指すのであれば、締め切りに対する意識をしっかり持つようにしてください。

例え、一冊目は後工程でなんとか吸収して大事に至らなかったとしても、それを挽回するぐらいの売れ行きでない限り、同じ出版社で二冊目が決まることはないでしょう。

 

また、それぐらい大切な締め切りに対する意識な訳ですから、当然、出版前の打ち合わせでも見られています。

平気で5分、10分と遅れて来る人は、スケジュール管理の意識が低い著者になると認識されてしまうので、日常的に意識したほうがいいですよ。

こういうところで出版が決まらないこともあり得ますので、それって非常にもったいないですから。

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2021年7月19日

テーマ:書籍が発刊されたら

出版社が倒産した場合について

長きにわたる出版不況の上に若者の活字離れ、スマホの台頭など、時代の移り変わりの中で、出版社の倒産も増えてきている状況です。

そこで今回は、出版社が倒産した場合について書きたいと思います。

 

 

まず、出版社とはいえ企業ですので、倒産するまでには民事再生での再建を目指した上で、ダメなようなら倒産となります。

当然、民事再生であれば、再建の可能性は残されますので、印税や原稿料に関しては、額は目減りする可能性はありますが、支払われる可能性はまだあります。

 

しかし、倒産となりますと、出版社は管財人の手に渡り、出版社の人間とさえ連絡が取れなくなります。

例え出版社の人間と連絡が取れたとしても、その人が経営陣でなければ、ほとんど社内の状況について教えてもらえません。

教えてもらえないというより、その人も知らないというのが実情だと思います。

管財人は、その会社に残った資産を計算して、債権者に分配することになるのですが、出版業界の場合、印刷屋さんや紙屋さんは、一冊あたりの金額もさることながら、支払いサイクルが長いため、その間に積み上げた負債はかなりの金額に達します。

しかも、一社の出版社は、決まった印刷屋さんや紙屋さんを使い続ける傾向があるため、ますます被害は大きくなります。

そうなると、残った資産は負債額の比率で分配されますので、微々たる金額しか受け取ることができません。

(今までの経験で言うと、受け取れたことはありません)

 

つまり、出版社が倒産した場合、泣き寝入りせざる得ない状況になるのがほとんど。

 

そうならないためには、事前に出版社の与信を管理する必要があるのですが、今まで景気が良いと言われたことの無い業界でもありますので、細かいポイントはいくつかありますが、与信を管理するにも限度があります。

「大きいから安心」とか、「中小だから危険」ということは、あまり関係ありません。

かといって、与信の管理を意識しすぎて、印税などのの支払い条件に口を出すと、どこからも本を発行できなくなる危険性もあります。

 

では、そんな時、著者はどうすればいいのでしょうか?

 

まず原稿が出来上がった時点で出版社が倒産した場合ですが、本ができあがっていないのであれば、その原稿は他の出版社に売り込むことは可能です。

また、本ができあがっている場合は、一回、市場に出た以上、改めて発刊するには、すでに必要な人は買ってしまっている訳ですから、伸びしろが少ないと判断されてしまうため、かなり売れた本以外は他の出版社による買い取りは厳しいでしょう。

 

すでに本ができていれば本は残りますが、できていなければ他の出版社での出版が決まらない限り、形にすら残らないため、その本に関する労力は全て無駄になってしまいます。

それを踏まえて考えると、本を出す以上、ある程度リスクを覚悟しておくべきなのかもしれません。

それぐらい、経営状況が芳しくない出版社は多いようですから。

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2021年7月10日

テーマ:書籍の企画書の書き方

類書がない場合のポイント

出版企画を考える場合、考えた企画に類書があるのかを気にされることってあると思います。

私に届く出版企画書でも、「類書が無いので、この本は売れる」というような文言を多く見受けられます。

 

しかし、出版業界の人間たちは、常に企画を考えています。

それこそ、血眼になって、日々、企画を考えている訳です。

 

それなのに、あなたが考えた企画に類書が無いということは、どういうことなのでしょうか?

ちょっと、考えてみてください。

 

一つは、出版業界の人間には考え付かない企画。

そして、もう一つは、出しても売れそうにない企画。

だいたい、この二つが理由です。

 

しかも、ほとんどの場合が、二つ目の理由であることが多いのです。

つまり、素人考えの「類書が無いので、この本は売れる」というロジックは、通用しません。

 

 

先にも書きましたが、我々、出版業界の人間は、常に企画を考えています。

ということは、よほど斬新な切り口でない限り、出版業界の人間であれば誰でも思いつく切り口ということであり、それが書店で販売されていないということは、二つ目の企画に該当したということなのです。

 

もちろん、一つ目に該当する場合もありますので、全てが全てが二つ目ということではありません。

そして、その場合は、比較的スムーズに企画は採用されることでしょう。

 

もし、類書が無い企画を思いついた場合、企画書を書く前に、是非、「類書が無い理由」を考えてみてくださいね。

 

ちなみに、出版業界では、「類書が無い企画」よりも、「類書が一冊しかなくて、その本が売れている企画」の方が企画は採用されやすい傾向があります。

つまり、リスクを負って新たな市場を開拓するよりも、売れている類書をより売れる形に改善して二匹目のドジョウを狙う方が、ある程度の市場規模や売れ行きもイメージできますし、リスクが少ないと判断されるのです。

 

無理に独自性の高い「類書が無い企画」を考えるよりも、書店で売れている書籍を探して、その書籍をより売れる形に改善した企画を考えた方が、出版への近道かもしれません。

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