出版企画を考える場合、考えた企画に類書があるのかを気にされることってあると思います。

私に届く出版企画書でも、「類書が無いので、この本は売れる」というような文言を多く見受けられます。

 

しかし、出版業界の人間たちは、常に企画を考えています。

それこそ、血眼になって、日々、企画を考えている訳です。

 

それなのに、あなたが考えた企画に類書が無いということは、どういうことなのでしょうか?

ちょっと、考えてみてください。

 

一つは、出版業界の人間には考え付かない企画。

そして、もう一つは、出しても売れそうにない企画。

だいたい、この二つが理由です。

 

しかも、ほとんどの場合が、二つ目の理由であることが多いのです。

つまり、素人考えの「類書が無いので、この本は売れる」というロジックは、通用しません。

 

 

先にも書きましたが、我々、出版業界の人間は、常に企画を考えています。

ということは、よほど斬新な切り口でない限り、出版業界の人間であれば誰でも思いつく切り口ということであり、それが書店で販売されていないということは、二つ目の企画に該当したということなのです。

 

もちろん、一つ目に該当する場合もありますので、全てが全てが二つ目ということではありません。

そして、その場合は、比較的スムーズに企画は採用されることでしょう。

 

もし、類書が無い企画を思いついた場合、企画書を書く前に、是非、「類書が無い理由」を考えてみてくださいね。

 

ちなみに、出版業界では、「類書が無い企画」よりも、「類書が一冊しかなくて、その本が売れている企画」の方が企画は採用されやすい傾向があります。

つまり、リスクを負って新たな市場を開拓するよりも、売れている類書をより売れる形に改善して二匹目のドジョウを狙う方が、ある程度の市場規模や売れ行きもイメージできますし、リスクが少ないと判断されるのです。

 

無理に独自性の高い「類書が無い企画」を考えるよりも、書店で売れている書籍を探して、その書籍をより売れる形に改善した企画を考えた方が、出版への近道かもしれません。