出版を目指している人たちとお話ししていると、「出版すれば成功できる」と考えている人が少なくありません。
しかし、この考え方には根本的な誤解があります。
出版は、本来、成功の入り口ではなく、むしろ成功の結果として位置づけられるものです。
成功が先にあるからこそ、その実績をもとに出版する内容に価値を持ち、次のステップへ進むための力となります。
読者が本を選ぶとき、どのような著者の本を手に取るでしょうか?
それはもちろん、その分野で実績があり、信頼できる専門家の本を選ぶことが多いはずです。
読者は、本を通じて有益な情報や知識を得たいと考えています。
ですから、まだ成果を出していない著者が出版しても、その内容に説得力を持たせることは難しく、読者の心をつかむことはなかなかできません。
今まで、成功するために出版をした人を何人も見てきましたが、逆に無様な結果に陥った事例をいくつも見てきました。
それらの失敗は、出版を「成功するための道具」として誤解し、その準備や順番を間違えたことが原因です。
そもそも出版は何かを成し遂げた人が、その実績を共有し、新たなステージへ進むための「加速装置」のような役割を果たします。
実績がゼロのまま出版しても、ゼロに何を掛け合わせても結果はゼロのままです。
では、出版で成功するためには、具体的にどのような条件と順番が必要でしょうか。
まずは、自分の分野で実績を積むことが最優先です。
たとえば、プロジェクトの成功事例を作る、顧客からの信頼を得る、資格やスキルを磨くなど、読者が「この人の話を聞きたい」と思える基盤を築く必要があります。
そして、実績があるからこそ、出版する内容に具体性や信頼性が生まれ、結果として読者に響く本を作ることができます。
たとえば、読者の課題を解決するためのアドバイスや、自身の成功体験を通じて得た教訓など、価値ある内容を提供することで、出版の意義が最大化されます。
成功と出版……「卵が先か、鶏が先か」という議論のように見えるかもしれませんが、出版に関しては成功が先であることは間違いありません。
成功があってはじめて、その成果をもとにした出版が読者に価値を提供し、著者自身の次の成功を加速させるのです。
逆に、この順番を誤ると、出版が逆効果になる可能性がありますので気をつけましょう。
最後に、出版を検討されている方には、まず自分自身の現状を冷静に振り返り、今までの成功は何だったのか、そして、これからの成功のために何をすべきかを考えることをお勧めします。
そうした努力を重ねることで、出版が単なる目標ではなく、次の大きな成功へのステップとして位置づけられるでしょう。
出版はゴールではなく、通過点です。
この順番をしっかり守ることで、出版の価値を最大限に引き出すことができるでしょう。