先日、出版社に打ち合わせに伺いました。

その時、出版企画書を2つお持ちしたのですが、どちらの企画も私が長い時間をかけて練り上げたもので、どちらも自信作です。

 

 

担当編集者は出版企画書を一つ一つ丁寧に読み、その内容について質問をいただきました。

企画に対する反応は非常に良く、私は大きな期待を抱いたのですが…

 

「実は、同じような出版企画書を他の方からも預かっていたんです。しかし、その企画は編集会議で通らなかったんですよね。」

 

私は驚きました。

同じような企画が通らなかったにも関わらず、なぜ今回の出版企画書に好感触だったのでしょうか?

 

実は、ベースになっているのは、実は同じ出版企画書だったようです(一人の著者が二人の出版プロデューサーにお願いしていたという…)。

 

では、その違いは何かというと、通らなかった出版企画書は著者が書いた出版企画書をそのまま持って売り込んでおり、私がお持ちした出版企画書は著者が書いた出版企画書をリライトしたものです。

 

同じことをテーマにした内容の出版企画書であるのにも関わらず、私の出版企画書が好感触で、著者が書いたままの出版企画書は通らなかったのでしょうか?

 

その理由を知りたくて、私は担当編集者に詳しく聞きました。

 

答えは簡単。

実は、企画の売り込み手に問題があるようです。

 

企画を売り込むとき、著者が書いたままの出版企画書で出版社に売り込むと、著者の想いや主張が強すぎて、どうしても自分の企画を押し付けがましくアピールしすぎてしまいます。

その結果、受け取る側が企画に感じた疑問や不安を解消することができません。

著者が想いや主張が強すぎれば強すぎるほど、指摘しづらくなるというのもあるようです。

 

逆に、私のように著者が書いた出版企画書をリライトする場合、売り込む本人でもありますので、だいたい担当編集者の思考やリアクションは分かりますので、企画を一歩引いて俯瞰して見ることができ、全体像を把握することができます。

その結果、受け取る側の不安や疑問を予め見つけ出し、それらを解消させた状態の出版企画書を提案できるのです。

 

ただ、著者が書いた出版企画書をリライトする場合、企画が採用されるようにすればいいということではなく、しっかりと企画の本質を理解した上で、それを誰に届けるのかも考えなくてはなりませんし、著者がそういう人に同接しているのかなど、著者のバックグラウンドや経験も理解しなければなりません。

これは、たんに企画が採用されることを目標とせず、その後の幸せな著者人生を歩んでもらうためには、非常に重要なステップなのです。

 

その結果、私はその企画をより魅力的にブラッシュアップさせることができ、その結果、一度は不採用の結論が出た企画ではありましたが、無事に採用されました。

 

出版企画書を書いていると、つい熱がこもってしまうことってあると思いますし、それは仕方のないことだとは思いますが、その出版企画書をチェックする担当編集者はいたって冷静だということは忘れないでください。

そして、ただただ自分の企画を売り込むのではなく、受け取る側の視点を理解し、俯瞰して見る客観性と自分らしさを入れ込むようにする必要があるということです。