はじめて本の出版を目指す人にとって、出版企画書の中でもとくに「著者プロフィール」は、出版社の編集者に対して、自分の信頼性や専門性を伝えるために重要な要素となります。

特に無名の著者にとっては、どれだけ魅力的な企画内容であったとしても、著者自身に説得力がなければ、企画が通りにくくなるという現実があります。

出版企画書における「著者プロフィール」に書かれる「肩書き」や「実績」は、出版という門を開く上では、かなり重要な役割を果たすのです。

 

 

では、具体的にどのような肩書きが効果的なのでしょうか。

 

たとえば、「○○研究家」「●●コンサルタント」といった表現は、たとえ正式な資格や肩書きがなくても、自分の経験や活動内容を的確に言い表し、一定の専門性を感じさせることができます。

これは自己申告による肩書きであっても構いません。

重要なのは、編集者にとって「この人はこの分野について語るに値する存在だ」と思わせるだけの妥当性や納得感があるかどうかなので。

 

また、「元・○○会社の広報担当」「元・公立中学校教員」といった過去の職歴を活かした肩書きも有効です。

人は「過去にどのようなポジションにいたか」から、その人の見識や知見を判断することができますので、「元〜」という表現は、キャリアを自然な形でアピールするのに適しているといえるでしょう。

もちろん、資格を持っている人はであれば、「税理士」「弁護士」「臨床心理士」といった国家資格や専門資格を明記するのは非常に説得力が高く、出版の後押しになります。

 

それでも「特別な肩書きも資格もない」と感じている人も多いかもしれません。

しかし、今の時代はSNSやブログ、YouTubeなどを通じて情報発信をしている人も多く、そうした活動歴も立派な実績になります。

たとえば「フォロワー数1万人の○○系インフルエンサー」「月間3万PVのブログ運営者」といった表現も、出版の企画においては有効です。

読者に届く力があることを示すことで、企画全体の信頼性が高まるのです。

 

著者プロフィールを書く際に忘れてはならないのは、あくまで「読者や編集者の視点」に立って、自分をどう見せるべきかを考えることです。

肩書きは自分をよく見せようとし過ぎるあまり、誇張表現や過剰な自称に走ってしまうと、逆に信頼を失う可能性があります。

「○○界の第一人者」「業界を変えた革命家」などの表現は、第三者の評価がない限り避けるのが無難です。

あくまで事実に基づき、控えめながらも誠実に自分の専門性や経験を伝えることが、結果的に一番効果的なブランディングになります。

 

出版は、自分という存在を価値づけし、読者や編集者に「この人はこの分野について語るに値する存在だ」と思わせるだけの妥当性や納得感をもたせる必要があります。

出版企画書における著者プロフィールでは、肩書きがあるかないか、それをどう伝えるかによって、出版の可否すら左右されることもあるのです。

無名であることに引け目を感じる必要はありません。

大切なのは、どれだけ自分の経験や思いを言語化し、相手に伝わる形にできるか。

自分の中にある価値を丁寧に見つめ直し、それを言葉にして届けることが、出版成功への第一歩です。