一冊目の出版が見えてきたとき、あるいは本を出したあとに、ふと不安になる方がいます。

 

  • 「自分は二冊目も出せるのだろうか」
  • 「一冊で終わる著者と、続けて声がかかる著者は何が違うのだろうか」
  • 「次の企画を考える前に、何をしておけばいいのだろうか」

 

そう考えるのは、とても自然なこと。

二冊目を意識できている時点で、すでに著者として次の段階を見ようとしている証拠です。

 

ただ、現役の編集者として正直にお伝えすると、二冊目につながるかどうかは企画の良し悪しだけで決まるわけではありません。

その前に、出版社や編集者から「この人ともう一度、本を作りたい」と思われるかどうかが大きく関わります。

 

 

大事ことは、二つあります。

 

ひとつは、本づくりへの向き合い方です。

これは、性格が良い悪いという話ではありません。

原稿づくりにどれだけ真剣に取り組んだか、修正に対して素直に向き合えたか、締め切りが難しいときに早めに相談できたか、本が出たあと、自分の本を読者に届けるために動けたか…編集者は、そうした姿勢をよく見ています。

というより、一冊の本を一緒に作る過程で、自然と見えてしまうのです。

たとえば、初速は思うように伸びなかったとしても、発売後にコツコツ発信を続け、読者の感想を丁寧に拾い、次に活かそうとする著者がいたとしたら、そういう著者に対して編集者は「今回は大きく売れなかったけれど、もう一度一緒に挑戦したい」と感じることがあります。

 

もうひとつは、売れ行きです。

本が売れたかどうかは、やはり見られます。

増刷がかかったか、ランキングに動きがあったか、読者の反応が広がったか…ここは外からも見える部分です。

売れていれば、他の出版社から声がかかる可能性も高くなります。

ただし、ここで大切なのは、売れ行きだけですべてが決まるわけではないということです。

 

売れたとしても、一緒に仕事をした編集者が「もう二度と一緒に仕事したくない」と感じたとするならば、その出版社との縁は続きにくくなります。

反対に、売れ行きが十分でなくても、信頼関係が残っていれば、次の機会につながることがあります。

つまり、二冊目の話は「次の企画をどう作るか」だけでは始まりません。

 

重要なことは、一冊目を通じて信頼を残すことです。

本を出して終わりにしないこと、読者に届ける努力を続けること、これらは派手な挑戦ではありませんが、著者としてできる安全な挑戦です。

無理に大きく見せる必要はありませんし、完璧でなくても大丈夫です。

自分の言葉で本に込めた思いを発信する、読者からの反応を次のテーマのヒントにする…そうした小さな積み重ねが、次の一冊への土台になります。

 

二冊目、三冊目を出せる著者は、特別な才能だけで選ばれているわけではありません。

編集者に信頼され、読者に向き合い、自分の本を最後まで大切にできる人です。

次の企画を焦ってひねり出す前に、まずは「またこの人と組みたい」と思われる著者であること。

その土台が整ったとき、二冊目の企画はもっと自然に見えてきます。

 

一冊で終わらない著者になるために、まずは今の一冊を大切に育てるところから、一緒に始めていきましょう。