現在、アマゾンキャンペーン中の中嶋茂夫 さんの『山手線と東海道新幹線では、どちらが儲かっているのか?』。
実は、3年も前から“鉄道”と“ビジネス”を組み合わせた書籍を書きたかったようです。
どちらかを書ける著者さんはたくさんいらっしゃいますが、その組み合わせで書ける著者さんはそうそういらっしゃりませんので、中嶋さんが旗を立てるにはもってこいの場所だと思います。
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では、なぜ、この本を出版するまでに3年間も掛かったのでしょうか。
理由は簡単です。
2年間は、自分なりに企画書を書いていただけだったから。
簡単に言えば、2年もゴチャゴチャやらずに、さっさと私をトワイライトに監禁すれば良かったんです(笑)
よく酔っ払うと、『トワイライト監禁事件 』の裏話をします。
私が、トワイライトエクスプレスに乗る前に、たくさんの友人たちと旅立ちの杯を交わし、ある決意をしたという、あの話しです。
でも、出版に関係しているのは、その話しではありません。
今日は、もう一つの裏話を紹介します。
実は、この『トワイライト監禁事件 』が発生した時、私と中嶋さんはそれほど仲良くありませんでした。
実際に数回しか会ったことはありませんでしたから、当たり前ですね。
では、想像してみてください。
まだ数回しか会ったことがなく、自分には全く無関心の鉄道が大好きという年上の方と、23時間も一緒の部屋にいなくてはならないということを…。
(「だったら、何で行ったんだ!」という突っ込みは無しでお願いします)
最初は世間話からはじまり、近況報告などをしながら和みます。
その後、社交辞令的に鉄道の話しなどを聞き、出版したいネタについてもヒヤリングしますが、とても企画にならないネタばかり…。
ディナーで休憩となり、その後、車内探検などで盛り上がります。
だんだん話すことがなくなると、中嶋さんの本業のことや、鉄道以外の趣味や家族のことなどプライベートのことを聞き、ときに車窓から見える風景を話題にしたり、ロビーカーに移動したり…。
それほど親しくない人との二人きりの空間、トワイライトエクスプレスの中ですから逃げ場はありません。
恐怖なのは沈黙です。
いかに沈黙にならないようにするか、必死で会話を生み出しました。
しかし…
ろくに街頭もない地域を走るトワイライトエクスプレスです。
車窓から見える風景は、漆黒の闇。
私の引き出しを全て投入して、とにかく会話を切らさぬように、端からヒヤリングです。
この時間帯ぐらいなると、もう中嶋さんの何でも知ってます(笑)
そして、ついに疲れ果てて就寝。
起きたら、また二人きりの時間です。
よっぽど寝たフリを続けようかと思いましたが、それも何なので、果敢にヒヤリングです。
この頃になると、何だか繊維のマメ知識やら、どこぞのスキー場のオーナーの素性やら、どうでもいい情報をいっぱい聞かせれてました(涙)
その後、朝食も終え、トワイライトエクスプレスの見え場である敦賀での機関車交換も終了し、いよいよクライマックスに向けて琵琶湖の脇を走っているぐらいのことです。
もう、完全に話題も無くなり、私も会話を続けることに力果て、どうでもいい会話を繰り返していたぐらいに、突然、中嶋さんが言い出したのです。
中嶋「まだ今の肩書きや実績では無理だと思うんですけど、いずれは“鉄道”と“ビジネス”を組み合わせた書籍を書きたいんですよね~。私が鉄道ネタで本を書くなら、この切り口しかないと思うんですよ。」
山田「はぁ~、“鉄道”と“ビジネス”を組み合わすって、どんなネタですか?」
中嶋「例えば、山田さん、山手線と東海道新幹線では、どちらが儲かっているのか知ってます?」
山田「どっちでもいいんですかど、それでは本にはなりませんよ。そういうネタがいくつかあるなら別なんですが…。」
中嶋「えっ?いくつかあったら、企画になりますか?」
山田「そりゃ、そういうキャッチーなネタがいくつもあるなら、面白いですからね。しかも、そういうネタなら、知っているかどうかの話しなので、肩書きも実績も必要ないですよ。」
中嶋「マジですか!では、それでいきましょう!」
たぶん、こんな会話だったと思います。
その後、具体的に膝を突き合わせてネタと切り口を整理しました。
実は、この本はこういう環境で、こういう話しの流れで生まれたのです。
これは、たんに密室でそれほど親しくなかった中嶋さんとの二人きりの苦悩をお伝えしたいのではありません。
企画というものは、ガツガツ出したい本の話しをしているときよりも、出がらしのその先にある肩の力が抜けた状態の方が良い企画が生まれやすいということを知って欲しいのです。
これは、私もセミナーでタイトルを考えるときに100案出すようにお話していますが、同じ理屈ですね。
そして、自分では思ってもいないことや無理だと思っていることが、意外にも出版の企画になります。
以前、この記事 でも書きましたが、いかに編集者と話しをすることが重要かということなのです。
しかも、書きたいことを話してジャッジしてもらうだけではなく、もっとじっくりと話しをして、いろいろと引き出してもらわなければ意味はありません。
もし、なかなか企画が通らないのであれば、一度、そういう機会を作ってみることをおすすめいたします。
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